大会長挨拶
第30回日本義肢装具士協会学術大会
大会長 保谷 純一
(公益財団法人 鉄道弘済会 義肢装具サポートセンター)
謹啓 皆様におかれましては、益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます。
この度、第30回日本義肢装具士協会 学術大会を、2024年 7月 13日(土)・14日(日)の2日間にわたり、さいたま市にあります埼玉会館にて開催させていただくことになりました。東日本支部での開催は、第22回大会から9年ぶりとなります。
本学術大会のテーマを『業域の展開』といたしました。昭和63年に施行された義肢装具士法において義肢装具士は、「医師の指示の下に、義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の製作及び身体への適合を行うことを業とする者をいう。」と定義されています。
義肢装具士の「業」が「採型・製作・適合」と定義されてから30年以上が経過しました。この歴史の中で義肢装具士の役割は単に義肢装具を供給する立場から、医療機関や福祉施設において医師・看護師・セラピストなど多数の専門職域と連携し、医療やリハビリテーションに関わる専門職種として対象者を支援するための役割と責務が求められ展開を進めてきました。そのなかで対象者へ効果的な義肢装具の介入を能動的に実現するために、処方の場面で義肢装具士がアプローチする方法も変化し、義肢装具を設計する材料となる事前評価や予後予測、課題を抽出するための臨床推論の思考などを学び、日々新しい知識や技術を「採型・製作・適合」に取入れて臨床の場で経験し、実践能力を高めてきました。
このように我々の「業」は細分化し「展開」されてきましたが、これからも専門的に展開と進化を課題として取り組んでいかなければなりません。
一方で義肢装具士が身を置く環境も、義肢装具製作企業の場にとどまらず広く「展開」されてきました。教育領域・判定機関・病院機関・福祉分野領域・介護分野領域・義肢装具メーカー・車いす領域・海外での活動など、我々が活躍する場も多岐に渡るようになりました。展開と同時に、我々の働き方として求められ取り組むべき課題も少なくないと考えます。その一つとして、補装具のメンテナンス・フォローアップの在り方についても近年議論が交わされることも多くなっております。福祉の分野において、そこに携わる多くの職種や関連する機関との連携、体制の構築についても義肢装具士の存在が必要であり、今後も我々の資格・知識・技術を必要とされる「業域」が、さらに広く求められていくと考えます。
本学術大会では、今後の義肢装具士の発展のため、我々が培ってきた「業」の知識・技術・経験の共有、これからの「業」に必要とされる知識などの提案を通じて、義肢装具士の専門性・活躍の場をさらに「展開」していく未来を望むための機会に繋がることを願っております。
参加していただく方々にとって有意義な大会となるよう、現在スタッフ一丸となり鋭意準備を進めております。大会は対面を基本に考えておりますが、VODによる後日配信も予定しております。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
謹白